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ecoの事

私の提案する家は、自然素材でできています。
構造材の丸太はもとより、建具やフローリングには無垢の木を使い、
壁には珪藻土や漆喰などをコテで仕上げ、自然塗料を塗り和紙を使い・・・。
しかしながら、それを声高に発信する事は無い。どこかしら、後ろめたい。
昨今、電話やメールで飛躍した質問を受ける事がある。
「御社の造る家はエコハウスですね?」「環境に優しい家ですか?」。
正直、どう答えて良いのかわからない。

木・土・草・石・紙 自然素材ですね。

ガラス・コンクリート・合成樹脂・アスベスト・・・ これらはどうでしょう?
宇宙の彼方から舞い降りてきたものでしょうか?(それも自然素材か)。
これらの原料は鉱物や石油。石油は、元を正せば生物の死骸。
自然のものに人間の科学技術を加えたもの、これそのものが悪なのか。
使い方の問題なのか、程度の問題なのか、量の問題なのか。
はっきりしている事は、人体に悪影響を与えるモノ、使われ方、これは良くない。
「ワシの家は、全部木や。床・壁・天井・風呂・屋根まで木や。メッチャECO」
確かに快適そうですが、その生産過程や輸送・組立で環境に負荷をかけ、石油を使い、
森林を伐採して自然を破壊しているという行為も透けて見える。。
家造りに携わる者として、自然素材やECOを語る時、何をどこまで考えればよいのか。

腐る。割れる。破れる。自然素材は弱い。だから、長持ちさせようと工夫して造る。
オーナーは、長持ちさせようと手を入れる。愛着が湧く。自分の世界が生まれる。
可愛がってやると、長きに亘り輝き続ける。モノを大切にするという意味が少しずつ解る。
その過程で、少しぐらい科学技術の力を拝借しても良いのではないか。

知り合いの女性が、数十年身に着けているアクセサリーを、自慢げに話した事があった。
どう見ても樹脂系のそれ。聞けばベークライトだという。
石油から作られる合成樹脂が氾濫する前に、世に出たベークライト。
石炭から作られたそれは、アール・デコのインテリアにもよく顔を出す。
前職場の上司は、皮の筆箱を20年程使っていた。輪ゴムで金属疲労をカバーしながら。
今でも使っているのだろうか。

モノではなく姿勢。そういう事かもしれない。
そしてそのスタンスは、何も特別な事ではない。
ログハウスに関わった先人達が、昔から実践している話し。
大事なのは、モノを大切にできる豊かさ。何も大荘厳な話ではなさそうだ。

ウェスタン・レッド・シーダーの事

実は、弊社事務所のポストアンドビームは、ダグラス・ファーです。
駆け出しの頃、その違いを認識していたものの、軽視していた。
大して違わないだろう、と。
4棟目のポストアンドビームで、初めてレッドシダ―を構造材に使った。
この木の威力を知るのは、新築の時ではない。完成後数年経ってから、思い知らされる。
最初のメンテナンスの時、外壁塗り壁と丸太柱の取り合いを埋めるシールの切れ、
所謂「チリ切れ」がほとんど見当たらなかった。これは、収縮が少ない証拠。
室内においても、割れは生じているものの、ダグラス・ファーと比べて、仕口の空きが
生じていない。これは、ねじれが少ない証拠。
洗面台やカウンター、それに階段、直に手や足が触れるところも、至って素直。
ファーのような反りが、感覚として体に伝わってこない。
極めつけは、メンテで再塗装した職人の一言。
「この木、井上さんの事務所で使っている木と違うでしょ?
塗料の吸いが違います。塗料が減りません。」
この塗装職人は、当事務所の再塗装で、ダグラス・ファーにも刷毛をあてていたのである。

何もダグラス・ファーが悪い、と言っている訳ではない。
選木をしっかりすれば、ファーの良材も素晴らしい。しかしながら、
同じようなグレードで一般的に比較をした場合、その優劣は瞭然としていると思われる。

western red cedar ヒノキ科ネズコ属
他の針葉樹に比べ、収縮率、ねじれが少なく、木目が通り、真直ぐで素直。加工性良好。
ヤニは無く、防虫防腐性に優れる高耐久材。独特の芳香を有し、赤褐色の芯材にクリア
オイルを施した塗れ色は、いと美しい。
北米のネイティブ・インディアンがカヌーやトーテンポールに使用した、別名「生命の木」
story性も言う事無し。

再び自邸を建てる機会があれば、レッドシダ―を選ぶ事は言うまでもありません。

住宅設計の事 -住宅設計は難しい-

商業空間は客観的な視点を判断基準として持ちえますが、
住空間には、それがありません。
「施主」の主観的な視点が満たされているかどうか、この一点に尽きます。
その難しさとは技術的な事では無く、その人のイメージを
どこまで把握できているか、というコミュニケーションの部分にあります。
その為には、まずその人の事をたくさん知る必要があります。
生活習慣、家族、友人、趣味、仕事、、。
本当は、1週間でも一緒に暮らすのが一番良いのかも知れません。
「設計士さんにおまかせ」的PROJECTは、ある意味非常にやりがいがあり、
また非常に楽ですが「本当にこれで満足されているのかどうか」という
核心の部分が見えてきません。

「イメージした事が現実になる」
「イメージを引き出して現実にする」

素敵な家の完成に一棟でも多く携われる事を願っております。

飯・酒・遊の事

あるログメーカーのスタッフと話していた時の事。
「ウチの現場担当○○君は、仕事が大好きでね。飯はパンかおにぎり。酒も飲まない。
 煙草は吸うかな。休日出かける事もない。仕事しているのが一番楽しいみたいです。」
曰く、丁寧な仕事をするとの事。素晴らしい事だと思います。
思うのですが、僕には真似できない、
いや、真似してはいけない、とも思うのです。

僕の持っている知識や経験は、所詮米粒程度で、それも偏っていると思っています。
よりよい建物を建てる為に必要な知識・経験は、endlessで borderless だと思っています。
このギャップを埋めないと。
手っ取り早く本を手にとりますが、やっぱり偏っているのですね、読む分野が。

釣りや登山、カメラに音楽、好きな遊びは人それぞれでしょう。
もっと手短なところで、食事。これは、生きている限り、止める訳にはいきません。
実際、お客様と打ち合わせしていて結構な時間を割くのが、ダイニング・キッチンです。
美味しいモノを食べると会話がはずみますし、酒が入ると、さらに饒舌になる。
ワイワイ・ガヤガヤ、大爆笑。そうなると、食事も遊びですわな。
またそういう空気感も知らないと、色気のある設計はできまへん。

経営者育成セミナーに入塾。よそよそしい名刺交換。気合いの自己紹介。
塾長を師と仰ぎながらの飯。アー人脈が広がった・・・
こういう人との出会いは、僕の場合有り得ない。何より苦手。
なので、塾長なる人物とは出会えないですが、その道の匠なら、身近に沢山いらっしゃる。
学校の先生、パン職人、経営者、cafeのオーナー、歯医者さん、花火師、波乗りの達人・・・
パッと思いだすだけでも、これぐらい変化に富んだ職種が頭に浮かぶ。
これ全部、お仕事をさせていただいたお施主様のご職業です。(波乗り?)
本には載っていない生の話し。この方達のお話しを聞かずに、どうするのですか。
これまでほとんどのお客様と、食事は勿論の事、中には遅くまで酒を飲む事もありました。
その時は、普通に酔っぱらっております。そういう姿を見てもらうのもイイカナ?と。
勿論、楽しい酒です。勿論、話の中心は家造りです。
そして、お施主様の家に対するお考えが、より理解できる事も多々あります。
あー、そういう事だったのか、と。

よく食べて、よく遊んで、思いっきり笑う。大人も必要でしょ。でないと成長が止まります。
・・・という事で、誰か一杯いかがですか?

おい、わざわざ1ページつくる必要あったんか? 

まーそれも遊び、という事で。